食肉用として品種改良されてきた山羊の種類がある事をご存知ですか?日本国内で飼育されているほとんどの山羊は、乳を搾る為に品種改良されてきた真白な乳用種です。牛のホルスタインと和牛の様に、山羊にもおいしい山羊肉を追及して品種改良してきた品種があります。このページでは山羊の種類と三元交配について解説します。

日本ではヤギは白くて中くらいで髭が生えている。と、ほぼすべての人が連想されると思います。しかしそれは、乳用種であるのザーネン種の事なのです。山羊にも肉用に適した種類があるのです。

ヤギの世界

ヤギは世界中で飼育されている家畜です。実は世界中の最も広い地域で飼育されたいる家畜の一つなんです。その理由として、山羊は豊かな草原でなく痩せた土地でも、牛や羊が食べないような、木の葉を含む多くの種類の草を食べる事が出来る事があげられます。また、崖の様な起伏が激しい場所や急な斜面にも山羊は対応する事ができます。その為、山羊と言ってもとても多くの種類があるのです。

山羊の品種

世界中で飼育されている山羊ですが、牛と同じでヤギにも乳用種や肉用種があります。実は人類が初めて他の動物の乳を利用したのはヤギだと言われているくらい、ヤギと人との関わりはふるいのです。

ザーネン種

ザーネン種は乳利用を目的として品種改良されてきた品種です。日本でヤギと言えばこの品種を誰もが想像されると思います。アルプスの少女ハイジにでてくる真白なヤギです。もともとはスイスのザーネン谷原産で乳房が発達した乳用に飼育されていたもので、日本国内で品種改良されてきた歴史がありそれを日本ザーネン種とされています。

私たちの農場では、2016年に岐阜県の関ケ原町で行政が廃校を利用して飼育していたザーネン種が廃業に伴い販売されるという情報得て、その山羊が長野の改良センタ―出身の日本ザーネン種である事が決め手となって、雄雌合わせて36頭を購入して、家畜用のトラックで鹿児島まで下り、そのまま、フェリーで石垣島まで運んで、山羊牧場をスタートさせました。思い入れの強い品種です。

特徴

なんといっても発達した乳房と、単色の白が特徴です。耳の下や顎の下に独特のボンボンがあったりします。日本ザーネンは大型でメスで70キロ、オスで100キロ以上には成長します。

ボア種

ボア種は世界的に代表的な食肉用のヤギです。沖縄県では全国で唯一このボア種をニュージーランドから輸入して、県内産のヤギ肉の品質の改良、生産能力の増殖に取り組んでいます。20年前には行政よりも早く、沖縄の山羊飼いの有志が力を合わせて、当時まだ生体輸入ができたアメリカからボア種を輸入して、独自手品種改良されてきた歴史があります。その為、沖縄の山羊飼いの間では、アメリカ系ボアとニュージーランド系ボアと区別していて、アメリカ系の方が大きい傾向にあると認識されています。日本国内で正式な品種登録されたボア種が存在するのは沖縄県だけです。足が短く小さく見えますが肉量を示す歩留まりが飛びぬけて高い品種で、沖縄県が進めている独自のブランドヤギ「おきなわヤギ」を作るうえで要の品種です。

私たちの農場では、沖縄県から支給されてたボア種の冷凍精液で、八重山で初めて人工授精での出産に成功させた実績があり、純粋のボア種を2頭保有しています。

特徴

首から上が茶色く胴回りは白色、首回り胴回りがとても太く足が短いのが特徴です。メスで60キロ、オスで90キロから100キロくらいです。

ヌビアン種

ヌビアン種は今大注目されている大型のヤギの品種です。海外では乳肉両用のヤギです。乳はザーネン種よりも乳脂肪分が高く濃いミルクが出ます。牛でいうジャージーようです。肉質は赤身がとても強く、脂肪ののりが程よく、山羊刺し文化かある沖縄県では今後期待されている品種です。国内のヌビアン種は雑交配が進んでいて純粋と呼べるヌビアン種は存在していませんでしたが、昨年の2019年に沖縄県がニュージーランドからヌビアン種の生態を輸入しました。県と家畜改良協会の審査で登録された優良山羊に優先して種付けがスタートしていきます。

私たちの農場でも、2頭優良山羊に認定を頂き、今後純粋のヌビアンを人工授精で種付けをスタートしていく予定です。

特徴

馬の様に首や足が長く、全身の色が濃い茶色、耳が垂れていて、鼻が突起している。

独自の三元交配

私たちの牧場ではザーネン種・ボア種・ヌビアン種の3種類を掛け合わせて独自の品種改良に取り組んでいます。その方法とは岐阜から連れてきた日本ザーネン種のメスと沖縄県が保有する純粋のボア種の種を人工授精で種付けて生まれたメス山羊の中から優秀な山羊を選抜して、沖縄県ヤギ振興組合会長の仲里さんから好意で譲っていただいたヌビアン種のオスを種付けして3元交配種の品種改良に取り組んでいます。

上の写真は3元交配で誕生したヤギです。130キロもあります。このヤギはボアの特徴を濃く受け継いでいます。

このヤギの三元交配のやぎでとても体高あり、ザーネン種の特徴を濃く受け継いでいます。写真の人物は身長が180センチありますが、この写真でこのヤギの大きさがわかると思います。

沖縄県の中では山羊で180キロの体重のオス山羊や120キロを超えるメス山羊も存在しています。

3元交配で生まれたヤギは大型で、肉質の赤みが強くうまみが濃いのが特徴です。大型なので12ヶ月の子ヤギでと殺する時の体重が60キロから80キロもあり、18ヶ月で100キロのヤギを生産していく事が目標です。18ヶ月未満でお肉にする事は、お肉の品質においてとても重要な要素です。

今後も優良山羊の選抜、品種改良を進めて、より良い品質の山羊肉の生産を目指していきたいと思います。